大学新入生は過激派系サークルの勧誘に御注意ください ~公安調査庁の注意喚起コラム

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2018-04-21インテリジェンス・治安

入学シーズンもたけなわ。
大学新入生の皆様は楽しい毎日をお過ごしのことだろうと思います。
恐らくサークルに勧誘されて、タダ飯タダ酒飲みまくって。
この辺りはきっと私の学生時代と変わらないんじゃないかなと。

しかしサークル勧誘の裏には、将来に影響を及ぼす罠があるかもしれません。
今回は注意喚起として記事を書かせていただきます。

サークルの背後に過激派!?

私が以前勤務していた公安調査庁では、毎年「内外情勢の回顧と展望」(略称:回展)というパンフレットを出しています。
先日目を通していたところ、こんなコラムを見つけました。

新入生をターゲットに大学での勧誘活動を継続する過激派
過激派は,若手活動家を獲得する場として大学を重視しており,平成29年(2017年)も,各地の大学で勧誘活動を行った。かつては,ヘルメット,サングラス,マスクを着用した「過激派スタイル」の活動家がセクト名を明記した勧誘ビラを配布したり,セクト名を名乗って演説をしたりするのが過激派の典型的な勧誘手法であった。しかし,近年は,一般学生と見分けの付かない容貌で党派性を秘匿したサークルや学生自治会のビラを配布したり,一般学生が気軽に参加できるジャーナリストの講演会を開催したりするなど,新入生が過激派であることを認識できないような手法を採る傾向が強まっている。新入生が知らぬ間に過激派に取り込まれるおそれがあるため,注意が必要である。

(引用:平成30年度版「内外情勢の回顧と展望」

「過激派って何?」という方へ

過激派とは、左翼のテロリスト集団。
警察ですと「極左暴力集団」と呼びますが、こちらの方が直観的に理解できると思います。
現在は沖縄基地問題などの市民運動に紛れ込みつつ、組織拡大を優先させています。

「セクトって何?」という方へ。

党派のこと。
具体的には「中核派」とか「革マル派」とかのことです。
これらの名前を知らない方は、ぐぐってみてください。

コラムが想定している対象

さてコラムについてですが「注意が必要」とあります。
しかし誰に向けて注意喚起しているのでしょうか?

文脈からは大学の学生課に宛てたように読めます。
しかし学生課は、こうした現状を公安庁に指摘されるまでもなく知っています。
(というより、両者の間で情報交換がなされています)

実際に向けられているのは大学の新入生に対してです。

ただ、もしかすると、企業の採用担当にも向けられているのかもしれません。
「表向き普通ですけど実は過激派だったりするので、御注意ください」として。

過激派系サークルに引っ掛かると何が問題なのか

1 学生生活を潰してしまう

公安庁は考えてないでしょうが、私はこの点が一番問題じゃないかと思います。

過激派系サークルの場合は活動目的がはっきりしています。
デモ活動、署名運動、講演会の企画などなど。
恐らくサークルの活動は多岐にわたり、多忙を極めることでしょう。
それと引換えに、きっとやり甲斐や充足感を得られると思います。

しかし、この「やり甲斐」や「充足感」が曲者。
気づくと必修授業までもぶっちぎり、単位足りずに留年していたりします。
さらには卒業できなくなったりすることも。
バイトをする間もなく、あるいは稼いでもサークルに貢ぎ、金銭的に困窮するかもしれません。

なお、以上は過激派系サークルに限りません。
昔から問題とされているのは宗教系のサークル。
ごく普通のサークルでも同じことは起こりえますが、こうしたサークルだと更に起こりやすいという話です。

2 思想が偏ってしまう

過激派サークルに所属すれば、思想が極端に左に偏ります。
さり気なく洗脳しようとするかもしれませんし、そうでなくても偏って当たり前でしょう。

しかし左も右も極端なのはよろしくありません。
思想が極端に振れること自体の良し悪しは置いときましょう。
周囲からすると極端な主張は聞いていて疲れます。
それどころか、思想が極端でなくとも、政治や社会問題に関わる話自体を嫌がる人も多いです。
結果として友人をなくします。

もしかすると「友達がいないからやってるんだ!」と言われるかもしれません。
それなら別の所で友達を見つけましょう。
クラス、ゼミ、バイト先、他のサークル。
いくらでも場所も機会もあります。

3 就職に影響する

これが一番の問題です。
治安機関を希望する場合と民間企業を希望する場合に分けて述べます。

治安機関を希望する場合

過激派系サークルに入ってしまった場合、公安調査庁については論外だと断言しておきます。
どのサークルに色が付いているかは大学毎に把握しています。
仮に黙っていても調べ上げますし、バレます。
警察庁・防衛省・内閣情報調査室も同じでしょう。

私は治安機関を希望する学生さんからコメントやメールで相談を受ける機会が多いです。
例えば、こちらの記事に寄せられた質問。

いつも、楽しく読んでおります。
身辺調査について調べていたら、このページのコメント欄がヒットしたので質問をさせてください。

私は今、大学2年生なのですが、このサイトで扱われているような業界に関心があり、来年に警察庁、防衛省、公安調査庁を受けたいと考えています。

そこで質問なのですが、よく身辺調査で言われる過激派との交流というのはどの程度からアウトになってしまうのでしょうか。

うちの大学では左派系のサークルのような団体が、一部活動しています。

毎年、彼らが大学に人が集まるイベントの時期になると、学内で講演会を開いているのですが、普通に会場が開放されていたので、私は彼らがどういう団体なのか知らずに、興味本位で今年と去年、講演会で話を会場で聞いてしまいました。

後になって人から聞いた話では、彼らは公安から監視されているヤバイ団体だと聞きました。私自身は彼らの主義主張に賛同はできないし、ちょっと話しかけられただけで、一緒に何かをしたわけでもありません。

しかし、公安はデモや集会の参加者を写真に撮ったりして、マークしているというような話も、どこまで本当かわかりませんが聞いたことがあるので、そこらへんが本当なら、誤解されていないか不安です。

実際のところ、この程度で選考に影響があるのでしょうか。

長くなったのですが、コメント欄を見ていて私も気になってきたので、質問させていただきました。

こういう心配をしなくて済むよう、気をつけて下さいということです。

参考までに、私の回答はこちら。

コメントありがとうございます。

結論から言いますと、その程度なら公安庁につきましては全く心配しなくていいです。
(他も恐らく大丈夫と思いますが他官庁のことですので)
ただ、きっと、これが通常人の感覚なんでしょうね。

大体、そのサークルが本当に公安にマークされてるかどうかも定かじゃありませんし。
確かに過激派が隠れ蓑にしているサークルというのは存在しますが、一般人に断定はできないと思います。
仮にそうしたサークルであったとして、大学祭とかの講演会なんて大勢参加するわけですし、たまたま参加しちゃったなんてこともあるでしょう。

ただあえて言うなら、決して物証は残さないこと。
例えば参加者名簿などに名前は書かないことです。
その名簿が警察なり公安庁に流れれば名前くらいはデータベースに載る可能性があります。
その場合は、もしかしたら「不用意」くらいにとられるかもしれません。
(誰かが名前騙った可能性もあるわけですから大丈夫と思いますが)
治安に限らずですが……役人を目指すのなら、通常の学生よりも警戒心は持っていてほしいところです。

頑張ってください♪

次の点は徹底的に守って下さい。

  • 噂されるサークルには近づかない、講演会なども見に行かない
  • 仮に参加しても名前を書かない、あるいは偽名を使う。署名も同じ。
  • 場合によっては教授から勧められる場合もあるかもだが「治安機関を志望してますので」とはっきり断る。

近づかなければトラブルになることはありませんので。

なお、補足として。
かなり大昔には、公安庁が左翼団体に所属していた学生を採用したことがあったと聞いています。
ただし、これは「スパイ報酬」として。
学生が組織を裏切って存分に働いたことに対し、就職という形で責任をとったわけです。
特殊な事例ですので悪しからず。

民間企業を希望する場合

あくまで企業によります。
しかし特定の思想を持った学生を嫌がる企業は少なからず存在します。
古い事件ですが、有名なのが三菱樹脂事件
安保闘争に参加経験があることを秘匿して内定を得た学生が、事実がバレて使用期間後に採用を拒否された事件です(詳しくはリンク先をお読みください)。
しかし、そんなこと口にしたら就職差別という批判が待っている。
だから黙っているだけです。

いつの時代の話だ、という批判は御勝手に。
私は否定されようと困りません。
批判を真に受けた学生達が、場合によっては困るというだけの話です。

少なくとも過激派団体に属すれば、属していない学生より選択肢が狭まってしまうのは事実でしょう。
逆に過激派の活動に参加しなければ、デモや講演会などにも参加しなければ何ら困ることはない。
学生の身を本気で案じるなら、要らぬ道を避けて通ることを教えるのが大人の役目じゃないでしょうか。
左翼系マスコミやジャーナリスト達は自分達の主義主張や活動に都合悪いから批判してるだけ。
就活に協力するとか、内定出すとか。
そうした責任を一切とるわけでないのは承知した上で、彼らの批判を耳に入れてください。

ちなみに中核派ですと、こんな感じ。

「暴力革命」を口にする学生達と一緒に働きたいですか?
危なすぎるし痛すぎる。
私なら全力で辞退させていただきます。

新入生がとるべき対策

1 政治色や社会問題を前面に押し出したサークルには近づかない

基本です。
先述しましたが、デモや講演会にも近づかないでください。
名前も書かないでください。

2 サークルには複数入る

本稿に関する話ですと、どのサークルが過激派とつながりがあるのか情報を得るため。
過激派などの極左に限らず、右翼や宗教など問題ありそうなもの含みます。
先輩がきっと教えてくれるでしょう。
噂が本当かどうかはわかりません。
しかし名前のあがったサークルに所属しない分には何のリスクもありません。

また、本稿には関係ありませんが、複数のサークルに籍を置くことで「大学での居場所を確保する」メリットが生まれます。
全てのサークルが自分に合うとは限りませんし、恋愛絡みとかでサークルを出て行かないといけない場合もありますので。
今は時代が違うかもしれませんが、私の友人はかなり泣いてました。

3 学生課に相談する

もし既に入ってしまって不安に感じている場合は学生課に相談してみてください。
学校によっては力になってくれると思います。
また「辞めようとした」アリバイを作っておく意味もあります。
「うっかり入ってしまいましたが後で気づき、学生課に相談しました」と言えますので。

まとめ

最後になりますが、誤解しないでいただきたいので強調させていただきます。
私は過激派系サークルに関わることが「悪い」とは言ってません。
「関わったら、こんなデメリットがあります」と述べているだけです。
全てを承知した上で関わるのでしたら止めません。

ただ正体隠して勧誘してくるような団体を信じられますか?
疚しいところがなければ堂々と誘うでしょう。
私にしてみれば悪徳キャッチセールスと変わらない。
くれぐれも騙されて入ることなきよう、お気を付け下さい。

本記事は注意喚起として書いたもの。
賛同してくださる方は拡散していただけると助かります。


Author:天満川 鈴

小説家になりたい駄文書き、元公安調査庁職員。
国家一種経済職→入庁。イスラム過激派などの国際テロ、北朝鮮を担当。
朝鮮総聯へのスパイ工作を描いた小説「キノコ煮込みに秘密のスパイスを は週刊誌で紹介され、さらに推理・歴史作家の鈴木輝一郎先生から「江戸川乱歩賞獲れた」と絶賛。素人の小説としては異例の反響を呼びました。
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