小説家になろうにて「キモオタでギャルゲー、それって何の罰ゲーム!?」連載中!

「公安調査庁は霞が関なのに本当に残業がないの?」「はい、ありません」

きのここらむ
この記事は約8分で読めます。

ブラックで知られる霞が関。
朝の3時や5時に役所を出るなんて当たり前です。
最近では「ブラック霞が関」なる本まで出ました。

その一方、公安調査庁(以下、公安庁)の採用パンフレットでは次の通りうたっています。

18:15 退庁
特段の事情がなければ定時退庁が基本。

引用:令和3年度公安調査庁採用パンフレット

本当に定時で帰れるの?
本当に残業ないの?

本当よ ブラック霞が関とは無縁な世界

あくまで労働時間に限るならですけど、公安庁は超ホワイトな役所です。
その実情と理由について記します。

スポンサーリンク
この記事を読む方へのオススメ

公安庁には本当に残業がない

本庁・地方支局を問わず、公安庁は定時になったらみんなが帰ります。
恐らく霞が関で真っ先に真っ暗になる官庁です。

また、私が公安庁を選んだ大きな理由でもあります。
採用面接再現。

どうして公安庁を希望するのですか?

公安庁では残業がなく定時に帰れる役所と伺っています。
私、過労死したくありませんので

……

本当に言いました。
人事課職員は表向き笑ってましたけど。
実際の本音は表情からお察しください。

当時はパンフに書いていませんでした。
私が知っていたのは先に入庁した友人から聞いていたためです。
それなのにこんなこと言えば「仕事する気ないのか」と見られて当然ですよね。

しかし現在はパンフにも書いています。
ワークライフバランスの充実が声高らかに叫ばれる時代にもなりました。
志望動機の一つとして口にして大丈夫です。

もちろんこれだけが志望動機ではありません。
しかし先に霞が関入りした友人達の話を聞くにつれ、

私のことだから残業しまくって過労死は確実だな……

仕事したくないんじゃありません(それもありますけど)。
発達障害当事者の私は「過集中」を抱えています。
ADHDの症状の一つなんですけど、仕事しだしたら止まらなくなるんです。

スポンサーリンク

残業がない理由

根底にある「区分の原則」

情報機関には「区分の原則」という特有のルールがあります。

区分の原則:他人の仕事を知ってはいけないし知ろうとしてもいけない原則

この帰結として、

公安庁では個人主義が発達し、また徹底しています

本庁・現場とも、公安庁調査部では「チーム」で仕事することがほとんどありません。
「個人」です。
形こそ組織ですが、実質的には個人商店の集まり。
新人のうちから自分で計画を立て、スケジュールし、仕事していきます。

組織愛もありません。
もちろん組織特有のしがらみはありますし、組織人としての自覚は持つ必要があります。
しかし基本的に「自分>組織」の人が多いです。

区分の原則から導かれる帰結として。

他人の仕事を手伝うことはできません。自分の仕事を手伝ってもらうこともできません。

全ては自分次第。
だから自分の仕事さえ終わっていれば帰れるわけです。

他官庁と業務の性質が異なる

公安調査庁の業務は他官庁と異なります。

まず本庁の場合。

政策官庁ではなく情報官庁ゆえです

自ら政策を立てることはありません。
法律もほとんど作りませんし改正しません。
ただひたすら情報を収集・分析するだけ。
そのため霞が関ブラックの根源である国会対策が他官庁より遥かに少ないです。

忙しくなるのは地下鉄サリン事件級のテロが起きるとか?
あるいや北朝鮮や中国と有事に発展するとか?

あまり想像したくないわね……

現場の場合。
スパイ工作なのですから、その時点で当たり前の仕事じゃありません。
他官庁との違いは、

時間をすり減らすか、メンタルをすり減らすかの差です

役所の風土として根付いている

もしかしたら新人のうちは上司に気遣って残ろうとするかもしれません。
そうでなくても本当に帰っていいのか悩むかもしれません。
採用面接で顰蹙買った私ですらそうでした。

しかし逆に上司から怒られます。

仕事ないなら帰れ
公安庁はそういう役所だ

私もまた後輩達に教えました。

残業代が出ない

ブラック霞が関でよく言われるのは「残業代が30時間までしか出ない」。
しかし公安庁はもっとひどいです。

仮に200時間働いたとしても残業代30時間出ないからね!

予算少ないからね……

残業代には予算の縛りがあります。
ブラック霞が関で話題になるような官庁には予算がふんだんに与えられています。
一方で弱小官庁の公安庁には残業割当予算が少ないんです。

残業代出ないのにどうして残業しなくてはいけないんだ!

みんなそう思ってますから、とっとと帰ります。

タクシーチケットがない

公安庁は本庁総務部を除きタクシーチケットがありません。
つまり、元々終電までしか残業できません。
さすがに、これを知ったときは泣きました。

公安庁ってなんて弱小なんだ!

まあ、定時退庁とタクシーチケット。
どっちとるかと言われれば迷うこと無く定時退庁ですけど。

スポンサーリンク

例外のケース

原則ですので例外もあります。

残業せざるをえない部署もある

本庁総務部、特に広報・審理は残業多めです(公安庁の国会担当部門)。
調査部各課における国会対策当番の人も残業することになります。

あと、過去の話ですが、オウム真理教への破防法適用申請の時の担当チーム。
家に帰ることすらできず役所に一ヶ月泊まり込みだったそうです。

仕事があるなら帰れない

仕事が終わっている限りは帰れますが、終わってないなら帰れません。

この問題が生じるのは、主に現場です

現場は相手あっての商売。
相手の都合にあわせないといけません。
相手がお酒好きなら会うのは夜になりますし、当然残業です。

しかも何時に終わるかなんてわかりません。
相手が望むならいくらでも付き合いますし、情報引き出せる限りはいくらでも粘ります。

とにかく先が読めないからねっ!

例えば、

日中は普通に仕事

19時、客(=情報提供者)との約束、この時点で既に定時回ってる。

盛り上がり夜中3時まで面談。

上司にメールで仕事終わった報告(寝てるけど着信音切ってるので入れておく)。

帰宅して情報を整理し、報告書の下書きを書く。

急ぎなので徹夜で出勤、コーヒー一気飲みしてから報告書を数本書き本庁へ送信。

適当に外回りの用事作って帰ろう……としたところで本庁から調査指示の電話。

「今日中?」「今日中です」

電車の中で仮眠、言われたことやって帰庁。報告書送信。

今度こそ帰ろう……としたところで北朝鮮が飛翔体発射。

ユンケル飲んで車に乗りこみ関係各所へ向かう。役所戻って報告書送信。

定時回って19時「終わった!」……と思ったところで某誌の記者から飛び込みの連絡。

「大事な話」とのことなので上司に報告して記者の元へ駆けつける。

以下、エンドレス

もちろん極端な例。
しかしタイミングが積み重なると、これに近い状況は生じます。

「仕事がないなら帰れる、あるなら帰れない」は、こういうことでもあります

スポンサーリンク

まとめ

私見ですが、公安庁で定時退庁が基本となっていることにつき、

一番大きいのは「風土」の問題だと思っています

仮に他官庁が効率化を進めたりシステム変えたりしたところで。
中の人達の意識が変わらない限りは残業もなくならないのではないでしょうか。
国対の問題を別にしても、そんな気がします。

最後に拙作「キノコ煮込みに秘密のスパイスを」から引用します。

「じゃあ言わせてもらいます。観音さんの集中した勤務態度見てたら『さぼる』って言葉が全く似合いませんけど」

「定時に帰りたいからこそ勤務時間は集中してるんじゃないか。役所なんてブラック企業も同然、残業代が出ないのに残業するなんて馬鹿馬鹿しいわ」

公安庁でエースと呼ばれるくらい働く職員でも、実は観音みたいなスタンスです。
私の元上司がそうで、業務時間内は集中して黙々とキーボード叩いてました。
外回りも、誰も見てないにもかかわらず同じ調子。
効率つきつめたルートに付き合って「これは成績上がるわ……」と感服したものです。
その一方で毎日定時上がりで、残業は必要なとき以外していませんでした。

仕事を終えたら定時にあがれる
だからこそ勤務時間は集中して効率的にこなせるというのはあるかもね

私も公安庁のすべてを認めるわけじゃありません。
しかしワークライフバランスについては私の在職当時から間違いなく進んでいました。
この点については全力で認めます。

仕事と生活を両立させたい
充実した余暇を過ごしたいし趣味にも没頭したい
そんな方には間違いなくおすすめできる職場です

キノコ煮込みに秘密のスパイスを

OBによる公安調査庁のお仕事をリアルに描いたラブコメ&サスペンス。
小説家になろうでは総合ランキングに入ったことのないド底辺のネット小説です。
一方で、
・週刊誌に「日本のスノーデン」呼ばわりでYahoo!ニュースになり。
・偉い作家先生から「乱歩賞獲れたミステリ」と絶賛され。
・出版社では「これを世に出すのは危険」とお蔵入りにされ。
あれこれ曰く付きの小説、あなたも読んでみませんか?
お気に召しましたら拡散していただけると嬉しいです。

この記事を書いた人

広島市内のパチンコホール勤務。
3号機時代からのパチンカス。
ADHD、精神障害者手帳3級所持。
慶應義塾大学商学部卒、専攻はマーケティング(広告・宣伝)
国家一種試験経済職の資格で公安調査庁に入庁。
在職時は国際テロ、北朝鮮を担当。
「小説家になろう」の底辺作者。
WordPress記事は素人の備忘録です。

天満川鈴をフォローする
きのここらむ
スポンサーリンク
きもおたねっと。
タイトルとURLをコピーしました