解剖 北朝鮮リスク(小倉和夫・康仁徳)【書評】

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2017-03-21インテリジェンス・治安

「解剖 北朝鮮リスク」(ISBN-13: 978-4532134648)は、職業としてインテリジェンスに携わっていた私が自信を持って推薦する本です。
特に治安・諜報系の官庁や学者を目指す方へ、本記事を書かせていただきます。

魅力は主観を極力排除した著述と大量のデータ

市販の北朝鮮関連本で読むに堪えるものはあまり多くありません。
著者の主観まみれですので。

インテリジェンスに必要なのは、とにかく客観。
知識のバックボーンがあって情報を峻別しながら読めるならいいのですが……。
下手な読み方をしてしまうと変な色がついてしまいます。
ある程度物の見方が確立するまで関連本は触らない方がいいです。

しかし、本書は違います。

大量なデータに基づいた、淡々と述べられる客観的な解説。
政治・経済・社会の全分野を網羅しながらも無駄は無く、贅肉が削ぎ落とされている。
この素晴らしき味気なさっぷりは、まさにインテリジェンス・レポート。
涙が出るほど感動しました。

しかも著者陣は日本と韓国の一線級の実務者に学者。
元KCIA(現:国家情報院)局長が監修として名を連ねています。

日本経済新聞出版社の紹介ページから。

2016年は36年ぶりの党大会など北朝鮮が世界の注目を集めるために、核実験のみならず積極的な行動に出ると思われます。本書のように北朝鮮のすべての問題について解説した類書はありません。

「類書はない」、まさにその通り。
このクラスの市販書は謳い文句通り、滅多にありません。
自信に恥じない良書だと思います。

ただ各章の結論部分は、ちょっと変な主観や思惑が見え隠れしているところもあります。
解説部分は本気で読み込んで、結論は流し読み。
こんな感じの読み方がいいのではないでしょうか。
データが豊富なので辞書代わりにも使えます。

まとめ

間違いなくお薦め。
学生レベルならこれ一冊だけで十分です。
他の本と違って煽ったり感情に訴えるものがないので、もしかしたら退屈するかもしれません。
しかし実務になれば無味乾燥なレポートを作成し、また読みこなすことになります。
自らの適性がインテリジェンスにあるか。
本書を読んで量ってみるのもいいかもです。