拙作「キモオタでギャルゲー、それって何の罰ゲーム!? 」にこんな感想をいただきました。
一部抜粋させていただきます。
もしかして作者さんは実際に官僚だったりするのでしょうか?
やたらと作中に官僚への皮肉というか当てこすりのような台詞が多いですが
主人公の設定上は普通なのかもしれませんが話の主軸がゲーム内転生ではなく官僚主義批判なのでは?と思う程度にはそのような表現が多く気になりました
この箇所に対する私の回答。
私のプロフィールについてはマイページの自己紹介欄を御参照くださいm(__)m
官僚主義批判の意図はありません。
○○○様が「一言」欄に書かれてます通り、「ギャルゲーの世界をリアルに当てはめたら」が主軸であり、私の主義主張関係なく、エンタメの一環として執筆してます。
その上で、お読みになる上で不快な思いをしたようでしたら申し訳ございません。
それは私の本意ではありません。
小説はあくまで読者様に楽しんでいただくもの。
そう考えて執筆してますので。
本音です。
そもそも基本的に「小説」、事実とは限りません。
もっともらしく読めても、それは私が経験を元にして、リアリティを出しているというだけの話です。
というか……私が元官僚というのを知らなくても、そう読めてしまうんだなあと。
ちょっと驚いたものがありました。
ただ、回答を訂正します。
一箇所だけ、官僚主義というか霞ヶ関のある省庁に対して、明らかにあてつけた部分があるのを思い出しました。
それを今回では採り上げたいと思います。
信じられなかった文部科学省の官庁訪問
小説の内容
まずは拙作(キモオタEP59 )からの抜粋をお読み下さい。
ヒロインが教室で同級生から理不尽に土下座させられ頭を踏まれているところに、先生がやってきたというシチュエーションです。
先生がみんなに呼びかける。
「みなさん──」
あたしも横目で先生を視界に入れる。
「今日のホームルームはイジメについてです。この学園、いやこの国にイジメは存在しません。仮に存在するように見えるのであれば、それはイジメられている様に見える側が悪いのです。例えば今回の二葉さんと田中さんに非があるように──」
ゆっくりと諭す様に、それでいてどこか高圧的に話す。
一体どこまで二人を庇うつもりですか。「──仮に何かあったとしてマスコミから聞かれれば『仲良さそうだった』とか『じゃれあっていた』と、あなた方の見たとおりに答えなさい──」
何が見たとおりですか。
「──これは文部省からも内々に伝えてきていることです。世間に誤りや誤解を正す、こうした不断の努力によって、調査におけるイジメ『件数』は減っていくのです」
文部省、今すぐ潰れやがってください。
実はこの数尾先生の台詞……
話したのは文部科学省(当時は文部省)キャリアの係長。
退職していなければ審議官以上になってるでしょうね。
私が同省を官庁訪問した時の話、今から20年近く前の話です。
実際の会話はこうだった
以下、会話を再現します。
ベル:私 文部:先方です。
文部「君、どうして文部省を志望したの?」
(本気で志望して訪問してるわけじゃないので、適当に)
ベル「イジメ問題を解消したいと思って志望しました」
文部「はあ? イジメ? 何言ってるの君。この国にイジメなんてないよ」
(はあ? 想像すらしなかった台詞に面食らう)
ベル「だって新聞やテレビでも報じる社会問題になってるじゃないですか」
文部「そんなのマスコミの作り話じゃないか」
(いったい何言ってるの?)
ベル「作り話って、自殺した子だって出てるじゃないですか」
(文部、溜息をつく)
文部「いいかね? それは自殺した子がイジメと思い込んだだけの話だ。仮に……もし仮に一見してイジメと考え得る状況だったとしても、それは自殺した子にそうした原因がある。いわばイジメられるように仕向けた自分の自業自得だ」
(無茶苦茶言いやがる)
ベル「いじめた方は何も悪くないと言うんですか?」
文部「だって論理的に、いじめる理由がなければイジメないだろ?」
ベル「加害者が楽しむためって理由があるじゃないですか」
文部「そんなしょうもない理由でイジメを行うのは合理的じゃないだろう。あくまで逆恨みした子供が遺書に書いただけの話。それなのに一方的に加害者扱いされてマスコミから叩かれる子供達の方がよっぽどかわいそうだよ」
(むかついた! こいつ、人間じゃねえ!)
ベル「学校にいじめは存在します! 現に私だっていじめられた経験があります!」
文部「君、ここにその子達を告げ口しにきたわけ?」
ベル「……(日本語すら通じないのか)」
文部「それにだね、統計の数字は『イジメはない』とはっきり物語っているんだよ。まあ、あることはあるが……この『数字』をどれだけ減らせるか。その『指導』に尽力することこそ私たちキャリアの仕事だ」
(ああ……まさにお役所仕事だ)
ベル「おっしゃりたい趣旨はよくわかりました。でも、その上で申し上げさせていただきます。仮にも国民の教育を司る文部省は、他省庁と異なり、たとえ綺麗事であっても理想を追って仕事すべき官庁なんじゃないですか?」
文部「行政は数字が全て。その数字に出てないんだから国民にとって何の問題もないだろう? キャリアに理想なんていらない。現実はそんなに甘くない。私たちキャリアが考えるべきなのは、何が文部省にとって一番利益となるか。君も文部省に限らずキャリアとして霞ヶ関で働きたいなら、そのことは頭に焼きつけておくといい」
(文部省、今すぐ潰れやがってください)
ベル「肝に銘じます。ありがとうございました」
文部「他に質問はあるかね?」
ベル「何もありません、失礼します」
心底、そう思いました。
大津いじめ事件がなければ、文部科学省はずっとこんな調子だったのではないでしょうか?
今でも思い出すとむかっ腹が立ちます。
会話についての補足
この係長、本気で「いじめがない」と言っているわけではありません(恐らく、ですが)。
実はいわゆる「お役所言葉」。
真意をざっくり書くと次の通りになります。
イジメが存在することはわかってるけど「存在してはいけない」ものだろう?
だから揉み潰すなり統計数字を調整するなりして「存在しない」ことにする。
実情がどうかなんて、私達の知ったことではない。
国益よりも省益を考える、それがキャリアというものだ。
なお、係長が超進学校出身で、本当にいじめを経験していない可能性はあると思います。
(勉強に追われて他人をいじめる時間や気力がなく、その結果いじめのない学校もあると聞きます)
文部省を一年で辞めたキャリアが残した言葉
文部省については、他にもこんな話があります。
私の同期で、学校・省庁を超えて非常に優秀と評判だった学生が文部省に入省しました。
しかし一年で退職。
同人の残した言葉はあっという間に霞ヶ関中を駆け巡りました。
そしてみんな「やっぱ文部省って、そういう役所なんだろうね」と口を揃えました。
まとめ
今はどうなってるか知りません。
ただ一国民としては……少しでも変わっていることを祈らんばかりです。
コメント