噂に流されるな! 財務省キャリア内定者が「落ちて」しまった舞台裏【就活・官庁訪問】

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2017-03-07日記・雑記

By: Dick Thomas Johnson

いよいよ就活シーズン。
期待に胸を膨らませつつ、一方でキリキリと胃を痛める生活を過ごすことになろうかと思われます。
私もそうでした。

きっとこれからわかりますが……就活の間は色んな怪情報が乱れ飛びます。
「あそこはもう終わった」とか「あそこは学歴フィルタがある」とか。
あるいはやっかみなどで誹謗中傷撒き散らされることもあります。

今から記すのは、そうした怪情報に振り回されず真実を見定めて就活してほしい。
そして失敗を怖れず挑戦する姿勢を忘れないでほしい。
そういう話です。
就活に限った話ではないんですけどね(笑)

また私にとっては、いい想い出の話でもあります。
詳しくは記事の中にて。

財務省から東大以外の内定者が出た!

私の前職は公安調査庁職員、つまり就職活動は霞ヶ関でした。
当時は不況の真っ盛り。
東大に限らず早慶などからもキャリア官僚の志望者が大量増加しました。

しかし、結構な人数の学生が玉砕します。
国家一種(現総合職)試験には通ったものの情報がなくて官庁訪問を失敗し、内定が獲れなかったのです。
(実は私もその一人)

そんな中、財務省で、ある早稲田の学生が内定を勝ち取りました。
A君としましょう。
言うまでもなく日本の最高峰、エリートの頂点。
東大以外から内定者が出たということで、学生の間では結構な評判になり、あっという間に噂が流れました。
(今ですと珍しくありませんが、当時はそういう時代です)
「東大以外でも内定出すんだ」とか「すげえ」とか「どんなヤツなんだろ」とか。

しかし国家一種二次試験に落ちた!

さて、当時のキャリア採用の内定は一次試験合格発表直後に出されていました(今は違ったはず)。
採用されるためには二次試験をクリアし、最終合格する必要があります。
しかし財務省の採用には一次試験時点で法律職50位内、経済職30位内というフィルタがあるとされていました。
(実際に私の知る限りでは、最終合格順位は悪くても一次は推定上記順位以内ばかりです)
一次試験でこの順位にいれば、通常はまず最終合格します。

しかしA君は二次試験に落ちてしまいました!

この噂もまた、あっという間に霞ヶ関中を駆け巡ります。
だって落ちるはずのない学生が落ちたのですから。
一番まことしやかに流れた噂は、

東大以外を採用したくないから、わざと落ちそうなヤツに内定を出したんだ。

当時は政府が「東大以外の採用比率を上げるように」と訴えていた頃。
「この手があったか!」とか「さすが財務省は違うぜ!」とかなんとか。

さらにその上で飛び交った台詞。

ざまあwww

東大生もそれ以外も関係なく。
だって財務省ですもの。
もう、かなりの人間がA君に嫉妬していましたから。
まさにメシウマ。
終いには「生贄に選ばれるくらいだから、きっとどこの官庁からも採ってもらえない最低のヤツなんだよ」と人格攻撃まで始める人すらいました。
見たことも会ったこともないのに。

ただですら官庁訪問は嫉妬と怨嗟の炎が燃え上がります。
特にその年は、当時の霞ヶ関の採用活動を巡って文春砲まで炸裂しました
内定獲れなかった学生が頭にきて、霞ヶ関の採用活動解禁日違反をチクったのです。
内定者組は「キャリアを目指す人間が何やってるんだ」と冷ややかな態度で記事を読んでましたが。
実際、官庁訪問に失敗した私ですら「そこまでやるか」と思いました。
今思い出しても恐ろしいです((((;゚Д゚))))

実は「友達の友達」だった

そんなある日、某省に決まった早稲田の友人の女の子と話していたときのこと。
Bさんとしまよう。

私「早稲田で財務省の内定とって二次落ちしたのいるらしいじゃん?」
B「あっ、それ、あたしの友達だよ」
私「そうなんだ。なんかひどい噂が流れてるんだけどさ」
B「えっ!? どんな?」(←まったく他人の噂に興味ない子)

(話し終える)

B「ひどい! A君は本当に優秀だよ! あたしなんて比較にもならない! 自己採点も聞いてるけど、間違いなく財務省入れる順位だったよ!」
私「俺も噂は信じてないけど、普通そのくらいの成績なら二次落ちはすまい」
B「本人も理由がわからなくて頭抱えてるよ。『人事院面接で何かまずいこと言ったのかなあ』って」
私「人事院面接で落ちるようなヤツに財務省が内定は出さないんじゃん?」
B「すっごい、いい子だよ。人間できてるし、リーダーシップもあるし。それなのに、もう見てられないくらい落ち込んで……」

会話でも述べているように、私は噂を信じてませんでした。
そんなのA君を知らなくてもわかる話。
例えば人事院面接でA評価を獲れば合格点数に足りなくても強制的に国家一種合格の措置が採られます。
その場合、財務省はA君を採用しなくてはいけないのですから。
(逆に人格攻撃に走る人の論拠でもありました。「人事院面接で逆転できない程ひどい学生」ということで)
あまり憶測で悪口は言いたくないって感じでした。
(綺麗事だけでなく、霞ヶ関は狭いので誰が誰の悪口を言っていたというのも広がる)
だから「ふーん」と聞き流していたのが実情です。

その他色々話してて、A君には気分転換が必要という結論に。
来年も官庁訪問するなら先立つ物が必要ですし、私がバイトを紹介することとなりました。

A君との出会い

A君はバイトの面接に無事合格、晴れて一緒に働くこととなりました。
いよいよA君と初対面。

本物のA君は、必ずしも美形とはいえない男子です。
でも、初対面の印象としては、本当にこんな感じ。

役所にはカラーがあります。
それゆえ聞かなくても内定官庁がわかる人がいます。
「外務省だろ」とか「警察庁だろ」とか。
A君もその一人。
「こいつは財務省だ」、一目でわかるタイプでした。
(後にA君を見た友人達も全員口を揃えています)

ただ勉強の方はそうでもない。
地頭が財務省級なのは話しているだけでわかります。
しかし知識は全くありませんでした。

そしてある日のこと。
国家一種の試験の話になったとき。

A「今年の二次の経済原論って難しかったよね」
私「そう? 入門マクロ経済学そのまんまじゃん」
A「えーっ!? 俺、まるでわかんなくて白紙で出したよ?」

その台詞を聞いた瞬間、全ての疑問が氷解しました。

質問者の写真

あ、あ、あほかああああああああああああああああああああ! 

 

A「アホってひどいやん」
私「アホだからアホって言ってるんだ! 二次落ちするに決まってるだろうが!」
A「いや、仮に零点でも絶対合格点あるはずだし」

私「そうじゃない! 国家一種の二次試験は科目ごとに足切りラインがあるんだ。白紙答案なら、その時点で不合格確定だ!」

A「えっ……」

A君固まりました。
しかし、

A「なんだ、そうだったんだ。だったら、もう終わったことだし来年頑張るよ」

妙にすっきりした顔。
どうして落ちたか、その答えが出たかららしい。
間抜けと言おうか、何と言おうか。
これが財務省内定→国家一種不合格の真相でした。

再び財務省内定!

さて、私とA君。
なぜか妙にウマが合いました。
なんでしょう? 価値観が合ったからか、趣味が合ったからか。
あっという間に仲良くなりました。

しかし来年一緒に官庁訪問頑張るのはいいとして、私は1つ懸念がありました。

私「来年も財務省が第一志望?」
A「うん。だって俺、財務省が好きだし」
私「でも前年内定とった学生が二次落ちした場合、翌年は内定出さないって言わない?」

これに対するA君の答えはあっさりしたもの。

A「噂がどうだろうと、回らなければ採用されることもないじゃん。財務省が俺を本当に欲しかったのなら、また内定くれるさ」

気負うでもなく、本当にさらりと。
心配した私の方が「そうだよな」と拍子抜けしました。

迎えた翌夏、一次合格発表当日。
たまたま法務省前でA君とすれ違う。
走ってきたので、もうA君が合格してるのはわかってる。

私「行き先は財務省?」
A「当然! 天満川君は?」
私「合格してたよ」
A「そんなの聞かなくてもわかってる! 内定は!?」

なんて嬉しい。
まさに官庁訪問の佳境、自分のことで精一杯だろうに。
今でも本音で心配してくれていたのが一目でわかる、険しい表情が思い出されます。

私「公安庁が俺を採らないわけないじゃんw」

そう答えると、A君は満足した顔で財務省へ走って行きました。
数日後、二人とも無事に第一志望の官庁への採用が決まります。
つまりA君は、再び財務省から内定を勝ち取りました。

そして私は二次試験のヤマを張り、予想問題と解答を作ってA君に渡します。
「今年は絶対に『入門マクロ経済学』読んでおけよ」と念を押して。
やっぱり二次試験はろくにできなかったみたいでしたが最終合格。
なんだかんだと、かなりの高順位でした。

なお、逆に私が二次落ちしました。
その顛末はこちら。

噂に振り回されず、失敗することを怖れない

実は前項の、

「でも前年内定とった学生が二次落ちした場合、翌年は内定出さないって言わない?」

これは噂でなく、多くの官庁で事実でした。
正確には「完全にやり直し」。
私の友人達で内定決まりながら二次落ちした人は「去年と今年は別だから」と人事から念を押され、かつ内定をもらえませんでした。
(ただし、その全員が別官庁で内定をとっています)
私の知る限り、再び同じ官庁から内定を獲ったのはA君のみ。
見事、その常識すら覆したわけです。

あまりに昔の話ですし、現在とは採用システムも違います。
現在の官庁訪問には役立たないでしょう。
しかし、

  • 噂に振り回されない
  • 失敗することを怖れない

A君の姿勢は現在でも通用するものだと思います。
もちろん官庁訪問以外でも。

「どうしても行きたいんだ」とか「自分には遠い存在」とか。
そう思う前にまずは動いてみるのが吉です。
A君の言う通り、回らなければ採用されることもありません。
失敗しても失うものもありません(他と日程が重なっていなければですが)
だったら挑戦してみませんか?
噂の中には有益な情報があるのも確かですが、何が真実か学生の側には判断しようもありません。
決して振り回されぬよう。

皆様の検討を祈ります。