東プレの「REALFORCE」。
静電容量無接点方式を採用した軽く正確な打ち心地が特徴で、至高と呼ぶに相応しいキーボードです。
しかしその分だけ、お値段は張ります。
こちらは私の使っているモデルの新しい型。
Amazonで2万円オーバーと高額です。
それでもレビューが100を軽く超えているところに評判の高さがみてとれます。
しかし実は、この値段でも案外安かったりします。
といいますのは、
機械接点がなくて構造上壊れにくいから!
しかも先代モデルは分解しやすくてメンテナンス性抜群!
私もかれこれ何年目に突入したのか覚えていないレベルで使っています。
安いキーボードだと一年で逝ったりするので、コストパフォーマンスは案外高いと思います。
本記事ではREALFORCEの掃除、次いで「特定のキーが反応しなくなる」というトラブルを乗り越えるまでの過程について述べます。
その1 キートップを外して清掃する
まず、普通は一番最初に試す手順となります。
症状発生
いつからというわけじゃないのですが、特定のキーの反応が悪くなってきました。
特にひどいのがエンターキー。
シフトとかアルトとか、他にもあちこち。
キーを押すときの感触がガチガチしてますし、気づいたら3年くらい掃除していない。
というわけで、キートップを外して掃除することにしました。
清掃手順
外す前に、キーボードの写真を撮っておいた方がいいです。
しかしメジャーなキーボードゆえ、ネットのどこかに画像が落ちているはず。
撮り忘れたらGoogleに尋ねてみるといいです。
キーを外すには「キープラー」という道具を使います。
おすすめはこちら。
……と言いますか、これしかありえません。
REALFORCEのキーはキチキチにきつく留まっていますので。
これ以外ですとキートップを破損してしまう可能性があります。
しかし今回、私は使いませんでした。
他人に薦めるくらいですから、もちろん持っています。
持っているんですけど……
部屋のどこにあるかわからない!
なんせ最後に使ったのは3年前。
しかも私の部屋は腐海なものでして。
しかたないので、昔「スムースエイド」という潤滑剤買った時のオマケを使いました。
これが使いにくい。
FILCOのなら10分もあれば全て外し終わるところが1時間くらい掛かってしまいました。
次は「グロ画像」注意だよっ!
全部外し終えたところ。
本機は2回目の掃除ですが、これはひどい。
完全にこびりついてしまっているのでエアダスター吹き付けたくらいではどうにもならず。
綿棒に台所用洗剤をつけて大雑把に擦り落とし、一旦拭き取ってからエタノールで擦りました。
清掃後。
まだ汚れは残っていますが、鉄板なのでサビもありますし。
これくらい落とせば十分と判断しました。
外したキートップは洗面器に入れて洗剤で洗います。
がしゃがしゃと小豆洗の要領で。
キートップはくれぐれもなくさないように。
東プレは保守パーツを単品売りしてくれませんので。
それでもなくしてしまった場合は、HHKB(Happy Hacking Keyboard)のキートップが流用できるらしいです。
HHKBも静電容量無接点方式です。
スイッチ部はREALFORCEと同じだとか。
あるいはメルカリでジャンク品のREALFORCEを購入してキートップだけ流用しましょう。
キートップが乾いたら再びはめていきます。
1個ずつ汚れをチェック。
残っていたらエタノールをつけた綿棒で擦ります。
掃除した結果
変わらない……
打ち心地も、なんかイマイチ。
むしろ反応悪化した?
その2 潤滑剤を塗る
反応だけでなく押し心地そのものが悪いので、スイッチ部に問題があるのは間違いないはず。
潤滑剤を塗ってみることにしました。
本当は「スムースエイド」最強なのですが。
昔はお試し用の少量販売してくれていたものの、今は売っていません。
どうしても欲しい方は、こちらに売っています。
まあ、とにかく滑ればいいので。
今回はパソコンCPU用のグリスを代用しました。
これじゃないけど、こんな感じ。
昔じゃんぱらにて100円で買ったまま放置していた品が、10年以上の時を経て使われることとなりました。
今回はパソコン組立てじゃなく滑らせるのが目的ですから安物で十分。
綿棒に少量をつけ、特にひどいエンタキーに塗ってみます。
スコスコ感蘇った!
ですが、反応は悪いまま。
どうして?
その3 接点洗浄剤を隙間から吹き付ける(やっちゃダメです)
次に試したのが「接点洗浄剤」。
よくよく考えたら構造上意味がないんですけど、私の中では「接点洗浄・復活剤万能」なので。
スイッチなどがついてる鉄板と基盤の細い隙間にノズルを差し込んで接点洗浄剤を吹き付けてみました。
すると……
エンターキー直った!
さすが接点復活剤!
調子に乗って、さらに全体に行き渡るよう、あちこちから吹き付けてみました。
その結果。
半分くらいのキーが動かなくなった!
アホすぎます。
もしや完全にぶっ壊した?
しかたないので分解することにしました。
その4 反応しなくなったキーを直す
今度はキートップを外す必要はありません。
REALFORCEを裏に引っ繰り返します。
裏蓋は簡単に外れます。
外した裏蓋。
結構汚れています。
取り外してウエットシートで拭きます。
アースのネジを外します。
裏側から見た基盤。
ネジを全て外します。
精密ドライバーがあった方がいいですが、普通のドライバーでも外せます。
ねじ穴を舐めないよう、慎重に。
ネジは1つたりとも無くさないように。
マグネットトレイがあると便利です。
外し終えたら、キー側を上にして、慎重に鉄板を外します。
うっかり基板を上にすると、スプリングがばらばらになる可能性あります。
げっ!
次回、とんでもグロ注意!
3
・
2
・
1
・
ゼロ
私、見た瞬間、卒倒しかけました。
これは反応しなくなって当たり前。
推定8年間、たまりにたまった塵と埃。
それとカビ?
もはや固まってしまい、こびりついてます。
見てるだけで病気になりそうです。
接点洗浄剤で一時的に直ったのは、たまたまどこかの埃が洗い流されたのでしょう。
いつまでもショックを受けてられないので、シリコンシートを端っこから慎重にぺりぺりと剥がしていきます。
ゆっくりゆっくりやってください。
スプリングが飛んでしまわないように。
シリコンシートを外し終えたところ。
スプリングは非常に軽く見失いやすいので、ここは絶対に写真を撮っておくこと。
まずシリコンシートを洗います。
洗剤を薄めた水に浸け、破らないよう変形しないよう、ゆっくり流す感じで。
すすいだ後は空気清浄機の上に置いて乾燥させました。
鉄板側のスイッチ裏面をウェットシートで拭き取っていきます。
こびりついた汚れはエタノールをつけた綿棒で。
続いて基板の掃除。
綿棒にエタノールをつけて、ゆっくりゆっくり埃を取り去っていきます。
スプリングをずらすときは飛んでしまわないよう気をつけて下さい。
ぴょんと跳ねて隣のスプリングと重なったりということもあります。
大まかに終えたところ。
だいぶ見られるようになりました。
こびりついた汚れ以外は落ちたので次のステップへ進みます。
シリコンシートを被せ直し、鉄板を被せます。
鉄板側を下に引っ繰り返し、裏蓋に引っかけてキーと床面の間に空間ができるように置きます。
基板をゆっくり持ち上げます。
すると、それぞれのキーの中にスプリングが入った感じになって、基板だけを独立して外せます。
(最初からしないのは、シリコンシートと基板がくっついてしまっているため)
ここで先程大失敗してくれた接点洗浄剤の出番。
使ったのはこちら。
基板の表裏両面全体に吹き付け、シートで塗り広げるよう拭いていきます。
力を入れすぎないように。
ピカピカになったところで鉄板にはめ直します。
白い○のネジだけ全て止めて仮組。
パソコンに接続し、すべてのキーが反応するかチェックします。
ここが一番面倒な作業です。
ここで白い○だけ全てというのは、2~3点しか止めないでチェックすると問題があるから。
その時は全て動いても、全てネジを締め直したときに反応しないキーが出てくるからです。
かといって全部を締め直すのは面倒。
白い○だけ全て締めておけば十分だと思います。
スプリングが少しずれても全く反応しなくなるので慎重に位置を調整します。
つまり、
キーが反応しない原因は、汚れだけでなく、スプリングの位置ずれの可能性もあるということです
全てのキーが反応するまで仮組と分解を繰り返します。
長い長い格闘を終え、ようやく完成。
試しにサイト記事を書いてみる。
まるで新品みたい!
反応は元通りで遅れがなく。
それどころかキビキビと素晴らしい反応を見せます。
キーの押し心地もスコスコと気持ちいい。
スイッチの裏側まで清掃したのが効果あったようです。
買った時ってこんな感じだったよなあ……と記憶が蘇る。
REALFORCE完全復活!
まとめ
REALFORCEの分解は簡単。
しかし清掃は大変です。
でも乗り越えた後には大きな喜びが待っています。
何より推定8年くらい使っていて、新品の使い心地が蘇るとは。
なんてタフネス、なんて素晴らしい!
REALFORCEを持っている皆様
ぜひ挑戦してみてください!
ただしお約束だけど自己責任でね
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