テレワークという言葉が広まり始めた現在、ワーキングチェアの購入を考えている人もいるかと思います。
ワーキングチェアといえば一番有名なのはハーマンミラーのアーロンチェア。
代名詞的な存在と言っても過言ではありません。
なんと美しい造形。
ニューヨーク近代美術館に所蔵されているだけあります。
ただ、私も数年ほどアーロンチェアを使っていた時期があります。
その経験から申し上げれば、決しておすすめできるワーキングチェアではありません。
アーロンチェアを選んではいけない理由
サイズが日本人に合わない
アーロンチェアにはA~Cの3サイズがあります。
日本で多く出回っているのはBサイズ。
私はBサイズとCサイズの両方を使っていました。
問題なのが、
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欧米人と比べて日本人は胴長短足。
それゆえ座面長・座面幅か背もたれの高さのどちらかが合わないことが多いです。
私を例に説明します。
体型は175センチで短足気味の標準的な日本人(のおっさん)だと思います。
Bサイズでは座面ぴったり。
その代わり背もたれが合わず、フレームが肩甲骨にあたります。
Cサイズですと背もたれはぴったりで包まれる感じ。
その代わり座面幅が合いません。
座面長はかろうじてぎりぎりでした。
座面幅がぴったりであれば、楽に踏ん張る姿勢を自然と促され、太腿に掛かる荷重がうまく分散されます。
まるでコックピットに座っているかのような感覚。
おしりも痛くなりませんし疲れません。
しかし座面幅が合わないと無理して足を広げることになりますので疲れます。
座面長が合わないのは論外。
膝裏にフレームが当たって痛いので座れません。
ギリギリだった私でも、フレームが触る度に気が散りました。
もう1つ。
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Bサイズで直立(座面水平)時ですと、一番上まで上げても肘が届きませんでした。
前傾なり後傾なりした時は肘掛けの角度も変わるので使えますけど。
使いにくいのは確かです。
設計が古く、調整幅が少ない
アーロンチェアが出たのは1994年。
当時としては間違いなく最先端の椅子だったと思います。
しかし今となってはさすがに古いです。
現在は「リマスタード」というバージョンになっています。
旧バージョンとの比較はこちら。
ハーマンミラーの正規代理店「Vanilla」の記事です。
しかし、
読みながらツッコミを入れてしまいました。
ものすごくどうでもいいところばかり。
アーロンチェア以降、ワーキングチェアはすさまじい進化を遂げました。
最近のワーキングチェアの多くは座面の長さが調整できるものが多いです。
調整できないものであっても短めに作られています。
背もたれの高さが調節できるものもあります。
肘掛けの自由度も高くなっています。
また、パソコンの普及に伴い、デスクワークが前傾姿勢から後傾姿勢へ移っていきました。
コンセプトも「正しく座る」から「自由に座る」へ変化してきています。
例えば、
ウィルクハーンのON。
コクヨのイング。
もっとも、ハーマンミラー社の製品までもが古いというわけではなく、むしろ最先端の椅子を開発し続けています。
エンボディチェア。
さらに最新作のコズムチェア。
コズムチェアは、まさに「自由に座る」そのもの。
あなたのためのチェア
コズムに座ってみてください。チェアに座っているということを忘れてしまうかもしれません。人間工学に基づいた洗練されたデザインが、身体、動き、姿勢に瞬時に反応して、自然にバランスを取り、座る人を完全にサポートします。
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なお、「アーロンチェアで胡坐もかける」といった記事も見かけますが……。
そりゃあ座ろうと思えば座れるでしょうとしか。
以下は私の経験として。
元々座面の合ってなかったCサイズはまだしも、ジャストサイズのBサイズで胡坐をかこうとは露ほども思いませんでした。
自然に正しい姿勢に促されますから。
一応試したことはありますが、フレーム当たるし足を置くスペースも狭いし。
かえって辛かったです。
後傾に向かない
デスク作業でとる姿勢は大きく「前傾・直立・後傾」に分かれます。
アーロンチェアが向くのは特に前傾~直立。
後傾は基本的に向きません。
「アーロンチェアは後傾にも向く」という記事も散見されますが……。
そりゃあ、どんな椅子でもこなそうと思えばある程度はこなせるとしか。
さっきと同じ台詞を繰り返しましたが、胡坐の話とは少々赴きが異なります。
向かないという表現を使ってしまうのは確かに誤解を招くかもしれません。
後傾には後傾に向いた椅子があるという話です。
そしてそれら後傾に向いた椅子は、アーロンチェアほど前傾に向きません。
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社外オプション品もあるにはあります。
私も使っていました。
私の使っていたのとは違いますが、こんな感じ。
ないよりはあった方がいいですが、元の背もたれが合わないと限界があります。
なお、ヘッドレストの固定力は弱いですが、金属棒の部分にクリップをかませて動くスペースをなくすという対処法があります。
見映えを気にしないなら試してみてください。
それでもアーロンチェアを選ぶ理由
ひたすらにディスってきたわけですが。
それでもというなら止めません。
むしろ購入を勧めます。
なぜなら、
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欲しい人はどんな理由つけたって欲しいんです。
そこはもう時計におけるロレックスとかと同じ。
宝飾品やコレクターズアイテムのようなものです。
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デスクワークは気分が大事。
これからお気に入りの椅子に座ると思えば気分もあがります。
仕事や作業を頑張ろうという気になれます。
動画を見たり読書したりするにしても。
「アーロンチェアに座る俺格好いい!」と思えば気分に浸れます。
結果として集中力が増したり、深くリラックスできたりといったこともあるでしょう。
これもまた使っていた経験から言える話です。
やっぱり、
私もアーロンチェアのいいところも悪いところも知った上で他の椅子に変更していますので。
また、このことは付け加えておきたいのですが……。
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ある程度のクラスの椅子であればどんな人でもそこそこ合います。
しかしその中でもやはり、抜群に合う椅子はあります。
アーロンチェアも然り。
特に体型とサイズが合う方にとっては最高の選択肢になりうるでしょう。
購入へ向けて背中を押してほしい方へ
ここまで読んで、それでも「アーロンチェアをほしい」というなら本当にほしい方でしょう。
以下では、使っていた経験から背中を押させていただきます。
独特の浮遊感
初めて座ったときはびっくりしました。
「これが椅子?」と思うほどに。
快適というより、椅子の存在を忘れます。
前傾最強
最近のワーキングチェアは後傾が基本の中、数少ない前傾対応。
アナログでの手作業が多い方には、それだけで選ぶ理由になります。
アーロンチェアには廉価版のライトシリーズもあります。
しかしライトシリーズには前傾チルトがありません。
前傾チルトあってこそのアーロンチェアと言われるくらいですのでライトシリーズは避けた方が無難です。
長い保証期間
ただし自らがハーマンミラージャパンの正規代理店で新品購入した時のみです。
譲渡や中古やオークション経由での購入などには適用されません(保証書がついていてもだめです)。
保証について、詳しくはこちらを御覧ください。
まとめ
本記事を読んで「アーロンチェアや~めた」になりましたでしょうか?
それとも「やっぱりアーロンチェア買う!」になりましたでしょうか?
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その上で。
正規代理店は基本的に定価販売。
そのため楽天市場かYahoo!ショッピングのポイントが多い日(5の日など)且つ還元率の高いショップで選ぶのがオトクになります。
どこで買うのがいいか、前もって調べておくことを推奨します。
もう一つ。
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実際に座ってみて自分の身で座り心地を確かめる。
ワーキングチェアを購入する際の基本です。
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