ラーメン二郎仙台店のツイート炎上に「私の常識」がおかしいことを思い知らされる

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2017-03-10日記・雑記

By: Takeshi Kiriya

ラーメン二郎仙台店公式Twitterアカウントが、次のツイートをしました。

リプ数419とすさまじい大炎上。
内容は賛否両論。
あまりに多すぎて、どっちが優勢なのかまるでわかりません。

私の意見

私はどっちかというと店側。
「どっちか」という曖昧な表現は、そもそもこんな争いが起こる自体が私の常識から掛け離れているから

まず私の抱く常識を抜いて考えると、以下の感想となります。

御客様が神様なら、美味しい料理を出す店だって神様。
互いにフィフティフィフティ。
どちらかが優るわけでないのだから、互いに互いを思いやる必要があります。
店が「小」にしておいた方がいいと再三忠告したのは、客自身を労るのと同時に、飲食店だから作ったものを粗末にされたくないという思いがあったでしょう。
それを客は無視して、挙げ句に「食えるわけねーよ」と負け惜しみ全開。
店だって経営しているのは人間、キレて当たり前。
「二度と来るな」は店の自由ですし、それをツイートで愚痴るくらいいいじゃないですか。
写真や名指しで晒したならともかく、そうじゃないんですし。
「大人げない」、それのどこが悪いんですか。
人間らしくていいじゃないですか。
ただ公式でツイートすると店の評判に響く。
その点で要らぬことは言わない方が経営上無難だとは思います。

……と、こんな感じ。

恐らく読む方の心には響かないでしょうね。
ごめんなさい、私は基本的に模範生ですので。

私の抱く常識

客の行為が理解できない

ただ私の常識が、模範生たるはずの自身を狂わせます。
本音はこんな感じ。

私は慶應義塾大学卒。
当然、在学中はラーメン二郎本店にしょっちゅう行ってました。

初めて行く時は、先輩から次の通り指導されました。

最初は「小」にしろ。
絶対に残すな、スープも最後の一滴まで飲め。

二郎は男子慶大生の聖地。
オヤジさんに食わせてもらう俺達が守らなければいけない礼儀だ。

そして二郎はオヤジさんとのバトルの場。
あの量をちゃんと完食できるか。
俺達がオヤジさんに挑戦し、打ち負かしに行くのが二郎なんだ。

今の若い人からするとアナクロかもしれませんね。
でも私が1年生の頃は、先輩に限らず周囲はこんな感じでした。

男子となっていますが、これは女性には食べきれないという前提があるため。
「男子」という枠での縄張り意識があるのも否定しませんが。
でも実際問題として私が3年とか4年の頃になると、女性客もちらほら並ぶのを見かけるようになりました。
そして案の定スープを残す。
よく周囲と、「女は二郎に来るな」と言い合っていたものです。

でも蔑視のつもりはありません。
たまにメジャレッツ──チア部の女子学生が食べているのを見かけることもありました(スーツを着ていて、めちゃキレイなのですぐわかる)。
みんなちゃんと残さず食べていました。
こうした女子学生は、むしろ尊敬と羨望の眼差しで見られます。
ええ、惚れました。その場で告白しようと思ったくらいに。

これが私の常識。

客と店は対等じゃない。
ラーメン二郎は私にとって「神様」なんです。
同時に客は「神様への挑戦者」なんです。

だから残す量を注文するのが理解できない。
そもそも二郎に行ってはいけない。
往年のジロリアンですと、この感覚が理解できる方もいるかもしれません。
それゆえ今回の客の行為はありえない、と思っています。

店主の言動も理解できない

ただ心情としては二郎側の味方なのですが……実は店主の言動も理解できません。

三田本店に行ったことがある人はわかるでしょうが「二郎のオヤジ」ことYさんは、実に無愛想。
店自体が客との暗黙のルールの元で成り立っている感じ。
つまりアドバイスもしないし、残したからって何も言わない。
今回みたいに親切なのも怒るのも、きっとないでしょう。
その点で私の知っている二郎と違和感があります。
もうここまで言うと偏見とかになってしまうのですが……。
二郎には神様らしくドンと構えていてほしい。
そんな感じです。

By: Takeshi Kiriya

私と二郎の想い出

さて、このままだと口だけで終わりかねないので、私のジロリアンとしての実績を。
私の特技は大食い・早食い。
リアルで私を知る人は全員異論ないはずです。
もう少し遅く産まれていたら、私はスパイだの官僚だのではなくフードファイターの道へ進んだでしょう。

ラーメン二郎の裏メニュー「マシ」

そんな私でしたが、大学3年までマシを食ったことがありませんでした。

二郎のメニューは小・大が基本。
小で普通の店の大盛~さらに多目くらい。
大は普通の店なら特盛。
さらにその上を行く裏メニューが「マシ」です。

今のジロリアンには「麺マシ」と言われるのが普通。
「なんたらかんたらマシマシ」とかみたいな表現も使われています。
ですが、私達の頃は、ただ「マシ」とのみ。
二文字とシンプル、だからこそ裏メニューとしての美学があるように感じられました。

ただ「マシ」は神聖なものにして侵すべからず。
大でも楽勝な私でも、実物を見たことがない以上は慎重にならざるをえませんでした。

ついにマシに挑戦

実は当時、私の特技に「映像技術」というのがありました。
そういうサークルにいたからなのですが、その関係で応援指導部から某イベントの映像の担当を依頼されることになりました。
慶應文化系サークルにおいて、応援指導部は半ば神格的な存在。
団長と待ち合わせることになったのですが絶対に遅れるわけにいかない。
一時間前に三田へ到着しました。

二郎の前を通りかかる……あれ、まだ開いてる。
ADHDで行列大嫌いな私にとってはありがたい。
中に入ると、オヤジさんと詰め襟制服の学生一人。
応援指導部か。
今から団長と会うのに、これまた奇遇だ。

さて、この状況は「マシ」を頼むチャンス。
空いてるときでないとオヤジさんに迷惑かかるのでマシは頼まない方がいいと言われているから。
これはきっと天からの啓示。
迷わず一言告げました。

「マシ」

数分後、オヤジさんがニヤリとしながらマシを出してきました。
丼が二つ。片方に麺の富士山盛り、片方にスープ。
入りきらないから、そうなるらしい。

ただ……こんなもの?
楽勝、と思ったときには完食してました。
大くらいならおかわりできそう、そのくらいに余裕でした。

先輩から聞いたマシを完食した時の儀式を行います。

ニヤリとしながら、静かに丼を返す。
これがマシを完食したときの儀式です(私の周囲だけかもですが)。

オヤジさん「あんな勢いよくマシ食い切ったヤツ、初めて見た」

その後は部室へ。

私 「マシって、あんなもんっすか? もう楽勝でしたよ」
先輩「いや、それはお前が絶対おかしい」

そんな会話を繰り広げていた頃、約束の時間午後三時。
一人の詰め襟制服学生がやってきました──って!
同時に叫び声が私の耳へ届きます。

さっきのマシ!

そこにいたのは、さっき二郎にいた学生の客。
この人が団長だったの? 奇遇にも程がある。

しかし初対面の人間に向けて、会うなり「マシ」呼ばわりはないだろう。
そう思いきや事情を説明してくれる。

オヤジさん驚いてたよ。
「あんな勢いよくマシ食い切ったヤツは初めて見た」って。
もう本当にすごかったよ。

そして団長は、サークルのみんなに熱く語り始める。
傍から見ると俺ってそんなにすごかったのか。
まさに、「完全勝利!」って気分でした。
……みんなは呆れてましたが。

それ以来「食うのも早いが仕事も早い、さすがマシ」とか、何かにつけてはマシ。
団長限定で私のニックネームは「マシ」となってしまいました。

まとめ

私の二郎に対する常識は、きっと今の方からすると、かなり偏って聞こえるでしょう。
私だって、こんな感覚や意見が通用するとは思っていません。

でも、それでもあえて願います。
「ラーメン二郎」で食する客には店に対する敬意を持ってもらえるといいなって。
ちょっと相手を思いやるだけで、どちらも気分良く過ごせるのですから。

以上、おっさんジロリアンの戯言でした。