内閣情報調査室って、どんな役所?

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2015-06-28インテリジェンス・治安

EVE Burst error R

画像は「EVE burst error」(本文参照)のPSVITA版です。

内閣情報調査室ってどんな役所?

拙作「キモオタでギャルゲー、それって何の罰ゲーム!?  」の主人公は内調職員です。

ある日、読者からこんな感想を頂きました。

むしろ内閣情報調査室職員ってどういう仕事なの?って疑問の方が大きいですが。

内調は「日本版CIA」とか「日本唯一の情報機関」と言われる官庁
つまり平たく言うと「スパイ」です。
ただこういう言葉を使うと、いかにも厨二で幼稚。
世間にならって「インテリジェンス(諜報)」と呼びましょう。

インテリジェンスて何?

簡単に言うと「情報を入手して評価して分析する仕事」です。
以下、「入手」と「評価・分析」にわけて説明します。

情報入手

「入手」の手法は多岐にわたります。
内調に限定すると、

・公然情報(新聞報道など表に出ている情報)を調べる(オシント
・人から聞く(ヒューミント
・衛星画像を分析する(イミント

実務では各々、公然・人的・衛星と日本語で略して呼びます。
だって横文字は気恥ずかしいですし、わかりづらいですし。

以下、それぞれについて説明します。

 公然情報

文字通り、新聞や雑誌を読んで調べます。
もちろん漫然と眺めるわけじゃありませんが、ここでは長くなるので割愛します。
詳しく知りたければ佐藤優氏などの著作をお読み下さい。

公然を「新聞や雑誌かよ」とバカにしないでください。
分析に必要な情報ピースの95%は公然、それくらいに重要です。

残りの5%が非公然情報、つまり敵対組織内部などの情報となります。
しかしそれ単独で価値があることは稀です。
当然に完成した分析書は、一見してその辺の報道やレポートと変わりません。
ただガセじゃない、というだけです

 人的情報

この「人」は、大雑把に「味方」と「敵」に分類できます
味方は、マスコミ・官庁・評論家など簡単に協力してもらえそうな人。
敵は、敵対組織内部の構成員など簡単には協力してくれない人。

内調の場合、基本的には前者のみ
名刺を差し出して会える人が入手源の範囲です。
例えて言えば新聞記者の延長。
敵組織の構成員を篭絡するといった、いかにもスパイじみた仕事はしてません。
あえて言うならCIAなど諸外国の情報機関との情報交換がスパイっぽいくらいでしょうか。

こんなことを書くと「ウソだろ」とか「お前が知らないだけだ」とか言われるでしょう。
でも事実です
内調にそんな権限与えられてませんから。

スパイ活動といえど行政の一環であり、行政は法なくして動けません
警察がSATなどを作ったりするのとはわけが違います。
(設置法の範囲内であれば、秘密部隊を置くのは組織内部の問題として処理できます)

内調職員の身分は内閣事務官。職種も行政職
警察や公安庁などの公安職と違います。
危険な仕事をするという前提がないからです。
もちろん自分で敵組織に潜入したりなどということもありません。

 衛星情報

文字通りです。
ただ理由は割愛しますが、これを内調の仕事と呼ぶにはいささか抵抗を感じます。

評価・分析

「評価・分析」は、「シンクタンク」っぽいお仕事です
机の上で情報と睨めっこしながら結論を弾き出す、完全なデスクワーク。
CIAみたいな有名な機関でもメインの仕事は評価・分析です。

まとめ

皆様の感想は、恐らく「期待はずれ」だと思います。
事実、業界における蔑称は「新聞屋さん」。
新聞をスクラップして配布するくらいの仕事しかしていないという意味です。

そもそも内調は独立した組織とすら言えません。
事実上は警察庁の下部機関。
ナンバー1は警察庁、ナンバー2は外務省。
職員の大半も警察庁を中心とする他省庁からの出向者です。
人数だって170人、これで何かやれという方が無理でしょう。
(一応は所管しているシンクタンクが手足代わりではありますが)

基本的にはインテリジェンスにまつわる行事などの事務局なのが実情
(もちろん、それはそれで重要な仕事であることは念を押しておきます)
名ばかりの日本版CIA、それが内調です

職場としての内調

公安調査庁から出向した人は全員が「楽」と口を揃えていました。
これは名刺を出すだけで、みんな頭を下げて協力してくれるから
「内閣」という響きはそれだけ大きいということですね。
(公安調査庁の地位がそれだけ低いともいいますが)

また、拙作EP02からの引用ですが、

 本物のスパイとしては待遇が悪すぎる。
 給料は安い。
 ノンキャリアの俺は出世できない。
 振るえる権力もない。
 挙げ句こんな危険な目にまで遭うのに!

実際は一部違います。

給料は安いです。これは間違いありません。
しかし、内調はノンキャリアでも、ほぼ全員が課長級まで出世できます
これはプロパーの数が少ないため。
霞ヶ関全体でみても警察庁並の好待遇。
他官庁では本省課長補佐級までいけば万々歳なので、かなり違います。
(ただし公安庁から多数の職員が移籍したため、現在もどうなのかは知りません)

振るえる権力は全くありません。
先述した通り名刺を出せば頭を下げてもらえる程度です。
これも間違いありません。

潜入とか戦闘とかするわけではないので、仕事自体で危険な目に遭うことはまずないです
ただし立場上、当然に敵国からスパイ工作の標的にはなります。
怪死や謎の自殺として報道される可能性が全くないとは言えませんので念のため。

内調の採用

あくまで私が噂として聞いていた話。
他官庁のことなので一切保証できません。

募集はノンキャリアのみ。
学歴は早慶以上。
語学力があればプラス。
イメージや待遇の良さもあって、かなりの難関らしいです。

単に内調で働いてみたいだけなら、ベストな手段は公安調査庁にキャリアで入ること
高確率で内調に出向します。

フィクションにおける内調

フィクションにおける内調は非常にカッコいいです。
組織は妙な権力を持っていたりします。
職員は銃を持ってテロリストを追ったり戦ったりしてます。

キモオタの読者ですとレトロエロゲーに通じた方は多いと思います。

「EVE burst error」(冒頭の画像)というゲームを御存知でしょうか?
あのヒロイン(法条まりな)が内調勤務です。
拙作のキャラ「雨木」と「北条」の名はこのゲームにちなんでます。

商業ですと「魔人探偵脳噛ネウロ」のヒロイン桂木弥子もEVEにちなんでます。

魔人探偵脳噛ネウロ カラー版【期間限定無料】 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

左側が弥子。
EVEはそれくらいの超名作であり、私が目標とする作品です。

マンガだと聖りいざ(元CLAMP)の作品に内調が出てきますが、やはり似たような感じです。

COMBINATION 1 (ジュディーコミックス クリエ)

拙作における内調

まあ……創作なんて夢を与えてなんぼ。
完全に現実に沿ってしまうと、誰得にも程があります。
作者は話が作れませんし、読者はつまらないですし。
なので拙作においては、仕事内容についてかなり曖昧に描いてます
現実と架空の中間のラインくらいで考えてます。

また拙作は、もっともらしく書いてあっても事実と異なる部分が多々あります。
例えば、EP01。

 ──消灯し、戸締まりをしてから退庁。二人の住む永田町へ足を進める。
 超一等地でしかも築浅な一DKに住めるのはありがたいが、それは休日だろうと呼出しがあれば三〇分以内に職場へ到着しないといけない身だから。

 

各省庁の危機管理担当職員にこうした制度があるのも、永田町に当該職員用の官舎があるのも事実です。
しかし内調に現在この制度はありません(昔はあったそうです)。
同官舎の割当もありません。
このくらいにはウソをついてますのであしからず。